アマゾンがインディーズ支援ポータルAuthor Insights

AAI_webアマゾンはインディーズ出版者たちのためのアドバイスを集めたポータル・サイト Amazon Author Insights (AAI)のベータ版を公開した。この種の情報は豊富に存在しているが、著者ブログなどに分散しており、整理してくれるものがなかった。AAIはアマゾンなりの視点でキュレーションで提供すると思われる。

「オーソドックスすぎる」謎

Author_Insights本サイトについての公式発表はまだないが、後述するように、筆者は見たところ何の変哲もないこのサイトが、そこらにある著者出版のためのサポート・サイトではなく、より大きな「次世代プラットフォーム」の一部であると考えている。自主出版はこの10年で驚異的な進化を遂げたビジネスモデルであり、次の10年でさらに大きな変貌を見せることになるだろう。

AAIは、「著者・エキスパートとアマゾンがお届けする、案内とインスピレーション」という副題がついており、自主出版で成功しつつ、これまでこのビジネスモデルの発展に寄与する著述・講演などの活動を行ってきた著者たちを前面に出している。デザインはシンプルで地味なもの。自主出版という活動の基本である、(1)書く、(2)刊行する、(3)売る、という3つの柱と、そのための (4)ツール/サービスが基本メニューで、現時点でそれぞれ10本以上の記事がある。基本的に著者のブログなどで多くの人に読まれ、シェアされてきた記事が多く、厳選された情報と言ってよいだろう。

authorsヒュー・ハウィ、ジョアンナ・ペン、ブライアン・コーエン、エリザベス・クレイグといった顔ぶれは、NY Times+USA Todayのベストセラー・リストの常連。たんなる「編集・出版の基礎知識」ではなく、著者が出版という活動をプロデュースすることの意味を意識しており、アドバイスは実践的で要点を押さえている。ツール&サービスは(当然ながら)アマゾンのものをスタッフが紹介する形になっている。Kindle Pressの署名が使われているが、これはクラウド・プラットフォームの Kindle Scoutで選ばれたタイトルを扱う出版ブランドだ(アマゾン出版とは別)。

米国でのインディーズ出版者への支援情報としては、(a)Creative Penなどの著者ブログ、(b)プラットフォーム・サービスの BookBabyFirst Pencil などが発行するニューズレター、(c)専門サイト (The Independent Publishing Magazine)に分かれる。それぞれが独自の視点と見識を提供しており、不足感はない。最大のサービス事業主体であるアマゾンももちろんKDPに関連してかなりの情報を提供してきたが、First Pencilのように、著者の立場に立った、きめ細かく、誠実・丁寧な情報は自ら発信してこなかった。なぜ今になって始めたのかは推測するしかないが、筆者はAAIがいわば「インディーズ2.0」ともいうべきビジネスモデルの新世代への布石である可能性が強いと考えている。「ストーリーテリング・プラットフォーム」として華麗に転身しつつあるWattpadの動きに刺激されているふしがあるからだ。◆http://www.ebook2forum.com/members/2017/03/amazon-launches-author-insights-website-beta-for-indie-authors/

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