時事通信選挙分析

「1+α≦1」 衆院選、共闘不発の立憲民主党

2021年11月03日

投票前日、有権者に支持を訴える立憲民主党の枝野幸男代表=2021年10月30日、東京都内【EPA時事】

 4年ぶりの衆院選が10月31日、投開票された。「党の顔」を岸田文雄首相に代えた自民党、選挙区で共産党などと候補者の一本化を進めた立憲民主党のいずれにも風が吹かず、野党票の集約効果で、自民党の苦戦も当初伝えられた。しかし結果は、自民党が、安定した国会運営が可能な「絶対安定多数」の261議席を得て、立民は公示前から14減の96議席と惨敗。共闘は不発に終わった。(時事通信解説委員長 高橋正光)

◇共産などと一本化、効果は限定的

 立民、共産、国民民主、社民、れいわ新選組の5党は今回、213選挙区で候補者を一本化した。前回2017年選挙で、多くの選挙区で野党候補が乱立、政権批判票が分散し、自民党の勝利を許したとの判断からだ。立民が基本政策の異なる共産と政権選択の選挙で共闘すれば、当然与党から「野合」との批判を受ける。それをかわすため、国民を除く3党と、市民団体を介して政策協定を締結。枝野幸男代表は、目指す政権の枠組みを立民の単独政権とし、共産とは閣外協力にとどめる方針を示した。

 一本化の結果、289小選挙区で立民が統一候補となったのは160。党全体では214選挙区で擁立した。開票の結果、小選挙区で勝利したのは57人。公示前から9人増えたものの、効果は限定的だった。前回、日本維新の会を除く野党票が自民を上回り、同じ候補同士の対決となった個々の選挙区を見ると、北海道9、秋田2、福島4、千葉9、東京8の各区などで議席を奪取。一方、茨城6、神奈川7、東京23、愛知4、福岡2の各区などでは敗北した。前回勝利の山梨1、静岡6の両区では、一本化にもかかわらず、自民党に議席を奪われた。自民に競り負けた選挙区には、維新が候補者を立てた選挙区もある。

第49回衆議院選挙が公示され、第一声を上げる共産党の志位和夫委員長=2021年10月19日、東京都新宿区【時事通信社】

◇比例は激減

 効果が限定的だったとはいえ、選挙区で議席を伸ばしながら、党として14議席減の惨敗となったのは、比例代表で公示前の62議席から、39議席に大きく後退したからだ。立民は前回、比例で37議席(選挙区17議席)を獲得。旧希望の党は32議席(同18議席)で、両党を合わせると、自民党(66議席)を上回った。希望で当選した議員の大多数が立民に合流したにもかかわらず、比例の議席は微増にとどまった。希望出身で立民に合流しなかった議員による国民の比例は、今回5議席。

これに対し、維新は公示前の4倍近い41議席(比例は25)に躍進。前回選挙で、立民、希望に投票した政権に批判的な有権者のかなりが、維新に流れたようだ。立民内からは、共産などとの共闘の結果、「本来の支持者が離れた」との声が漏れる。

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